フェネック本誌3月号では注目の新車を紹介。今回はレクサス初のSUV、RX350をおなじみの国沢光弘氏が斬る!
クルマの仕上がりに関して言えばもはやカンペキに近いと思う。徹底的な防音対策を行なった室内は、高級乗用車と比べたってまったく負けてないほど静か。ドアを締めたら「無音」と言っていいほど。インテリアの質感も抜群に高く、デザインや使っている素材、工作精度、いずれもすばらしく高い。まぁこのクルマを開発している最中は好況のまっただなか。妥協なしでいいクルマを作れたのだろう。
走行性能も充分納得できるレベル。Dレンジでアクセルを踏み込むや、エンジンは遠くで「ふむ~」という小さいけれど軽快な音を出す。徹底的に変速ショックを抑えた6速ATときたらギアが変わっていることをまったく意識させない。されどいったんアクセル深く踏み込むや「コーッ!」という音とともに轟然とダッシュを開始! 単なる優等生じゃないことを知る
強いてBMWのXシリーズあたりと比較した時の弱点を挙げるなら乗り心地か。トヨタの購買戦略の関係上、レクサスと言えども高品質なショックアブソーバー(例えばBMWなどで使っているザックス)が使えないため、路面の継ぎ目などに代表される凹凸のある路面の乗り心地でふつうのトヨタ車と同じなのは愛嬌ながら荒れてない道を走っているかぎりすばらしい。
アメリカでこんなクルマに乗っている人は、スキーと言えばアスペンとかソルトレークの高級ホテルなんかに乗り付け、釣りならマリーナから自分のフネ出してのマーリンやツナ(日本語ならカジキとマグロです)のトローリングなんだろうと思う。まぁアメリカじゃ「超高級」でなく「アッパーミドル」ですけどね。困ったことに今回の不況、本来ならレクサスを買うようなこうしたユーザー層を直撃しているそうな。
当然ながら相当厳しい状況だという。日本でもレクサスが狙っていたユーザー層はアメリカと同じ。されど今や高級車を買おうなどと言う気力、世のなかに「ほぼ」ありませんから。というか高級車なんか買ったら非国民のような雰囲気が漂う。もちろんトヨタだってわかっている。だからこそ4気筒モデルにかぎり、ハリアーも継続販売することになったのだろう。
レクサスRX350にもう少し強い個性や趣味性があったら、景気悪くても買う人は少なくなかったかもしれない。土壇場で強いのは優等生じゃなく強引にサイフのヒモを緩ませるような個性だと私は思う。ただハリアーにそっくりなエクステリアが「目立たなくていい」と評価されたりして。いずれにしろいいクルマであることだけは間違いありません。
試乗したのはRX350だが、通常走行ではエンジン音は遠くで小さい音を出す程度だが、ひとたびアクセルを深く踏み込むと「コーッ!」という音とともに猛然とダッシュを開始する
リアビューも基本的には現行型ハリアーのキープコンセプトだが、前後フェンダーのボリューム感に大きな違いあり
センターパネルが助手席側に張り出した左右非対称デザイン採用のインパネ。エンジンは280ps/35.5kgmを発揮